SGEとは

地質学からのアプローチ

~世界最大級の巨大カルデラを誕生させた地球エネルギーが1万年の時をかけてつくりあげたエネルギー鉱石

地球エネルギー 世界最大のカルデラの核
世界最大のカルデラの核 SGEウォーターの産出地帯は、大分県と宮崎県を分かつ1000m級の峰々が連なる九州山地の北東。約3億年前の古生代二畳記から約1億5000万年前の中生代ジュラ紀にかけて誕生した「秩父古生層」と構造線を境に接する。
約1億3000万年前の中生代白亜紀から約1500万年前の新生代新第三紀にかけて誕生した地層「四万十帯」にその鉱床を形成している。
ちなみに、「四万十帯」は、東南太平洋の中央海嶺で海山や海台が、プレートに乗って1億年を経て日本列島に接近、 衝突し陸源堆積物を付加し形成された地層と考えられている。
この地は世界最大といわれる阿蘇のカルデラをはるかにしのぐ世界最大級のカルデラの痕跡が今なお残る地でもあり、 祖母山、傾山、そして大崩山など中世代の活発な火山活動により誕生したカルデラ火山群のほぼ中核に位 置しているといった事実である。
1500万年前のこの世界最大級のカルデラ誕生、それはくしくも日本列島が大陸から離れて現在のような列島となった時期と一致している。
SGE鉱石帯はまさにこのダイナミックな地球エネルギーが繰り広げる神秘にみちた地球創造ドラマの中で誕生したのである。
1万年の熟変成"ホルンフェルス"
SGEストーンを構成している造岩鉱物の化学組成からその謎を紐解くと以下のような事実が浮かび上がってくる。
その誕生は、約6000万年前~1500万年の中生代後期から新生代にかけての祖母山、傾山、そして大崩山の大規模な火成活動に端を発する。
なかでも、世界最大級のカルデラ形成の原因となった大崩山およびそれをとりまく直径30kmほどの大規模火山活動は、 それ以前に形成された「四万十帯」地層に多大なる影響をもたらした。
SGEストーンは、この大崩山の大規模火山活動にともない噴出した花崗岩マグマの「後火成作用」および変成作用により、 「四万十帯」地層を構成する海洋底堆積岩である砂岩が大きな変成をうけて誕生した新鉱物、“ホルンフェルス”であると考えられる。
さらに、SGEストーンに存在する菫青石<(Fe,Mg)2 Al4 Si5 O18>をはじめとする変成鉱物や、特徴的な化学組成鉱山物質は、 この鉱石が火山活動により花崗岩マグマから放出された約400℃~500℃の揮発性の火山性ガスによって約1万年という長い歳月をかけて熟変成を受けて誕生したことを物語っている。
世界最大級の巨大カルデラを誕生させた地球規模のエネルギーが1万年の時をかけてつくりあげたエネルギー鉱石、それがSGEストーンである。
微量元素、希土類元素の宝庫
SGEストーンをその造岩鉱物およびその主成分から探ると、あらためてこの石のもつ特殊性が浮かび上がってくる。
そのひとつが、従来のSi02(二酸化珪素)やMgO(酸化マグネシウム)Al2O3(酸化アルミニウム)、Fe2O3(三酸化鉄)、 K2O(酸化カリウム)といった基本元素の他に、バナジウム、ラドン、ルビジウム、チタン、ジルコニウムなどといった一般の岩石ではみられない微量金属元素やさらには、 ランタン、ルテチウム、エルビウムなど地球の始源的組成とされる希土類元素を多種含有しているといった点である。
このことからも、地球創造のエネルギー核といえる火山性のマグマから放出された様々な微量元素がガス化し、 1万年の時をかけて母岩である砂岩の粒子空間に入り込みホルンフェルス化することにより他に類をみないエネルギー鉱石が誕生したと推測できる。
理学博士 松本幡朗
熊本市立博物館協議会会長、元熊本大学教授。
東北大学理学部卒。
火山研究の世界的第一人者で、九州の火山活動および地質学のエキスパートでもある。